ジャパンフェスタ in ADACHI 2021 「ギャラクシティ歌舞伎 歌舞伎俳優 市川九團次と成田屋一門による歌舞伎入門」開催
2021年2月23日(火・祝)、今回のジャパンフェスタ in ADACHIのハイライトとして、新型コロナウイルス感染拡大防止対策で席数制限する中、準備したチケットは完売、約380名のお客様をお迎えして開催されました。
歌舞伎俳優 市川九團次と成田屋一門、そして歌舞伎の舞台に欠かせない演奏家の方々を迎えて、お話しや実演を通じて、日本の伝統芸能としての歌舞伎を親子で親しんでいただくことが最大の目標でした。来場者アンケートでは、歌舞伎を見に行きたくなったという声をたくさんいただきました。子どもから大人まで、それぞれの気づきや、歌舞伎を見るきっかけ、楽器を始めてみたくなるなど、次のアクションに繋がるイベントとなったなら、これ以上嬉しいことはありません。(文末の来場者アンケート抜粋もぜひご覧ください。)
着到(ちゃくとう)
今回、特別に歌舞伎で開場時に演奏されるお囃子(おはやし)「着到」で開幕です。
歌舞伎俳優 市川九團次による歌舞伎のあれこれ
九團次さんが歌舞伎の歴史や楽しみ方、知っているようで知らない歌舞伎のあれこれを、分かりやすくかみ砕いてお話しされました。
客席に向けて気さくにお話しされ、雰囲気も次第にほぐれ子どもたちの元気な反応もかえってきます。
歌舞伎では女性の役を演じる女形の存在が欠かせませんが、出雲阿国(いずものおくに)から始まった歌舞伎、男性が女性の役を演じるようになった歴史的変遷や、女形がどのようにつくられていくか、「大きな栗の木の下で」の歌にのせて楽しく紹介されました。
膝に紙を挟んで内またに、肩を落として、大きな手を袖に隠して首をかしげると・・・
歌舞伎のもう一つの見どころ「見得(みえ)」。寄り目にして力強く決めるポーズは大迫力、客席も一緒になって見得のポーズをするうち、次第に歌舞伎の世界に入り込んでいきます。
今回の歌舞伎入門には九團次さんの他にも成田屋一門の若手俳優の皆さんが出演されました。部屋子として歌舞伎の世界に飛び込んだ市川 福之助さんもその一人。にこやかに話すその表情から歌舞伎愛が伝わってきます。
歌舞伎の入門講座
歌舞伎を楽しむうえで知っておきたいのが、その独特なせりふ回しです。市川 新八さんが紹介するのは「お待ちなさい」の一言が、演目や場面によっていろいろと展開されていく様子です。日常生活の中で使うのも楽しいという提案、その実演に客席は大ウケでした。
ダイナミックな立ち回りやとんぼ返りなどのアクロバティックな動きも歌舞伎の大きな魅力のひとつです。日頃の鍛錬の積み重ねで基本的な動きが身についていると、簡単な段取りだけで、複雑な立ち回りも演じることができるというのも感動でした。
厳しさと優しさあふれる九團次さんの言葉に、一門の若手に対する大きな期待が感じられます。
歌舞伎の音楽
歌舞伎の音楽といえばお囃子。鼓(つづみ)と三味線について、それぞれ日本を代表する奏者の方から紹介されました。
・お囃子講座
田中 傅次郎(たなかでんじろう)さんから、楽器の歴史や構造、演奏法などを実演を交えて教えていただきました。現在使っている鼓は約150年ほど前のもので、それくらい時を経ないと本当の音が出ない、今しつらえている楽器は50年、100年先の奏者のためという。握り具合ひとつ、息で湿らせるだけで微妙に音色が変わるなど、この楽器の繊細さ、奥深さを感じることができました。また演奏だけでなく、おなじみの「イヨォー」という掛け声もお囃子方の役割で、腹の底から発する掛け声は大迫力でした。
・三味線講座
長唄三味線奏者・杵屋 勝国毅(きねやかつくにき)さんと唄方・杵屋 佐喜(きねやさき)さんによる三味線の紹介です。長唄三味線は先月のあべやさんの公演で聴いた津軽三味線とはまた異なり、竿は細くやや小ぶりですが、音はとても明るくよく響きます。楽器紹介に続き、幕間に三味線だけで演奏される「幕三重(まくさんじゅう」を演じていただきました。
歌舞伎の音楽・舞踊の実演
・素演奏「連獅子」
歌舞伎の代表的な演目である「連獅子」が演じられました。お囃子講座で話されたように、演奏中に鼓に息を吹きかけ、音色を整えられるシーンもありました。
・素踊り「七福神」
フィナーレは九團次さんの素踊り「七福神」。お囃子と相まって会場は歌舞伎の雰囲気で包まれました。
<来場者アンケートより抜粋>
・しゃみせんがすばやくてすごかった。ぼくもしたい。
・ふだんは身近ではないかぶきを見られてよかったです。
・はじめて歌舞伎を見ました。音楽、舞踏、歌、すべてが1つになって、すごく感動しました。
・歌舞伎が身近になりました。入門の説明がおもしろい。次回も見たいです。
・識らずに今まで観てたことに気づきました。大変勉強になりました。
・綺麗でした。改めて観させていただきますと日本の舞は美しいと思いました。
・基本的な事かもしれないが、こうして見てみて始めて知れた事が多く、楽しめた。ただ歌舞伎を観るだけでは知れなかったと思うので来て良かった。
・歌舞伎に親しみ易く、とても分かり易く、お子様でもとっつき易い感じがして、とても良かったと思います。本物の歌舞伎も是非見てみたいです。
・漠然と歌舞伎に対する難しさや敷居の高さを感じておりましたが、分かりやすい解説のお陰で、歌舞伎の基礎に触れることが出来ました。
・お囃子講座で「自己満足で演奏しているのではなく次に継承する」とのお話が、伝統芸能を次世代に繋げていく並々ならぬ思いを感じました。そして多くの方が携わって歌舞伎が出来上がることが分かりました。今まで誰にも聞く事が出来なかった歌舞伎の世界を詳しく教えて頂きありがとうございました。コロナ収束後舞台を観に行きたくなりました。
西新井文化ホールは、足立区から世界へ文化を発信していくホールであり、今回、『ジャパンフェスタ in ADACHI 2021@HOME 』では、「ギャラクシティ歌舞伎 歌舞伎俳優 市川九團次と成田屋一門による歌舞伎入門」のダイジェスト版をオンライン配信でも楽しむことも出来ます。ぜひ、こちらもご覧ください。
■「ギャラクシティ歌舞伎 歌舞伎俳優 市川九團次と成田屋一門による歌舞伎入門」ダイジェスト版
https://youtu.be/ui9QRGCUM7M (外部リンク)